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Yosuke

DPネットワーク株式会社

※記事中の組織名、拠点名、部署名などは記事公開当時のものです。

「おんどとりはどの業界で一番よく使われていますか?」と尋ねられる事がよくあります。
この場合「どこだと思いますか? 今、ご自身がパッと思いついたところが正解だと思います」と回答させていただく事があります。
実はこの質問、すごく回答に困るんです。
とてもありがたい事ですが、“おんどとり”は非常にたくさんの業界・業種・シーンでお使い頂いています。
そのために一番といわれても絞ることができないのです・・・
だから、皆様がパッと思いついた場所、その場所こそ温度管理が必要な場所であり、それが答えなのだと思います。
とはいったものの、物流業界は“おんどとり”を一番よくお使い頂いている業界の一つだと思います。
今回は、医薬品輸送に特化した運送会社であるDPネットワーク株式会社様に伺い、お話を聞いて参りました。

日付 2019年7月
訪問先 DPネットワーク株式会社本社
使用機器 RTR-500MBS-A、RTR-502L
使用目的 医薬品輸送の温度管理

Q. 早速ですが、DPネットワーク株式会社についてご紹介ください

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「DPネットワーク株式会社 (Dia Pharmaceutical Network)は、三菱倉庫グループの一つとして、2011年11月1日に医薬品輸配送の一層の品質強化を目的に、医薬品輸配送専門運送会社として設立された会社です。」

「日本のPIC/S加盟申請を受け、今後日本国内でもGDP輸送が必要になるだろうという判断から、GDPに対応した全国的な輸配送ネットワークを先んじて構築しました。
当時の日本にはGDPのような基準はなく、この分野で最先端であったヨーロッパに出向き、勉強を重ねました。
日本でGDP準拠の輸送を開始したのは弊社が一番最初だったはずですよ。」
「DPネットワークの“DP”に“G”をつけたら“GDP”。」
「偶然ではありますが、まさにGDP輸送のために生まれた会社です。」と、DPネットワーク株式会社のご担当者が語ってくれた。

※GDP(Good Distribution Practice)とは
GDPとは医薬品が、工場を出た後、患者さんの手元に届くまでの流通過程における品質保証を目的とした基準。
これまで医薬品の保管・輸送条件を一括して管理する基準はなく、このGDPガイドラインの導入により、医薬品が工場出荷後に患者様の手元に届くまで、その品質を保持したまま届けられるようにする手法を定めたもの。

Q. DPネットワークが提供するサービスの概要や特徴についてご紹介ください

「名刺にもありますが、弊社では“DP-Cool”という名称でサービスを展開し、主に保冷帯、2〜8℃の範囲で管理すべき医薬品を運んでいます。
輸送中の温度データを顧客に提示することにより、お預かりした医薬品は適切に温度管理した上で配送しました、ということを証明するサービスです。」
「弊社では、“DP-Cool”を開始するにあたり、温度異常が発生するリスクを徹底的に検証し、勉強し、一つ一つ解決していきました。」
「具体的には、積み替えを極力なくし、仮に積み替える場合、その積み替える場所の温度までキッチリと同条件に保ちます。
また、保冷車と一口にいってもその性能や仕様はマチマチです。そこで弊社では、使用する車両を全国統一仕様にしました。
車両の断熱材を増量し、搭載する冷凍機はよりハイスペックなものを選定しました。」
「会社設立から約5年ほど研究を続け、2016年にようやく“DP-Cool”サービスを開始しました。」

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――昨今、食品や医薬品など、人の口に入る物については、特に安全に対する意識が高まっていますね。
我々消費者も、このような管理の下で輸送されている医薬品であれば安心ですね!

Q. 保有車両台数、また、お使いいただいている“おんどとり”の数を教えていただけますか?

「現在、“DP-Cool”に係わる車両は約70台保有しています。
RTR-502L(温度計)は全車両に搭載されており、中型車(4t)で8個、大型車(10t)で12個づつ設置しています。
計測した温度のデータはRTR-500MBS-A(親機)を使い、携帯回線を使って集中監視センターに送信しています。
RTR-500MBS-Aは70台以上、RTR-502Lにいたっては500台以上使っていますよ。」

――中型車で8個、大型車で12個とはたくさんお使いいただきありがとうございます。

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――温度って、ムラがありますよね。

――冷凍機の温度センサは冷気の吸い込み口に設置されている事が多く比較的良い温度を示しますね。
でも、庫内をマッピングしてみると場所によって温度が全く違います。
それにしてもここまで徹底した温度管理、敬服です!

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Q. 取得した温度データはどのように活用されているのですか?

「弊社では、有人による24時間温度監視体制を整えています。
もし輸送中に異常な温度が検知されたら、即座に、監視センターからドライバーに適切な指示を行います。
この仕組みを採用したことにより、今までのところ大きな事故は起こっていません。
一つ一つリスクを潰し、改善し、ようやくここまでたどり着きました。」

Q. おんどとりを導入してみていかがでしたか?

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「弊社がおんどとりを導入した時、“IoT”という言葉は世の中にそれほど浸透していなかったと記憶しています。
そんな当時、携帯回線を使い、複数の温度計のデータを集約し、それをクラウドに飛ばすという仕組みはおんどとりさん以外になかったと思います。
『IoTおんどとり』ですよね。」
「今思い返せば、我々も『医薬品輸送 x IoT』を早々に実現していたわけで、この点をもっともっとPRしておけばよかったな・・・」(笑)

――ありがとうございます!
これ、弊社にとって最大のほめ言葉です。
温度データをクラウドに飛ばしてどうするの?と揶揄された時代もありましたが、2009年からクラウドサービスのWebStorageを提供し、順次おんどとりの“IoT化”を進めてきました。
いつでもどこでも簡単にデータが見られることが弊社のテーマの一つです。

Q. DP-Coolサービスの今後の展望について教えてください。

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「GDPは現段階ではガイドラインですが、将来的には法制化されることが予想されます。弊社ではこれを見越して、先んじて様々な準備を進めています。
今は保冷帯のサービスが主ですが、今後は常温帯(ドライ)の輸送についてもより厳格にGDPに対応していく予定です。」

Q. それでは最後に、おんどとりへのご要望などがありましたらお聞かせください。

「AI搭載おんどとりの開発予定はありますか?」

――面白いですね。IoTの次のキーワードはAIですよね。
ただ、個人的な意見ではありますが、温度計測にAIが介在してはいけないような気がします。
AIが考えるというより、きっちりと真実を記録し、普遍的なデータとして残していくこと、これこそが“おんどとり”の使命と考えています。
とはいえ、計測したデータを、AIを使って活用していくという事は必要と考えております。
今後、御社が『物流 x AI』を実現していく際、是非私達の温度データも活用してください。

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実は、おんどとりを導入していただいた当時、私達の機器が不具合を起こした事がありました。
その連絡を受け、当日、不具合が発生した大阪まで駆けつけ、きつく、きつく、きつーく(笑・・・いや、笑い事ではないです・・・失礼しました)お叱りを受けた事がありました。
今思い返すと、人の命に関わる医薬品を運ぶため、トライ&エラーを繰り返し、より安全に、より確実に、と日々サービスの質を高めているからこそのきついお叱りだったのだなと。

昨今、医薬品のGDPであったり、HACCPなどを切り口とし、医薬品や食の安全を守るため、たくさんの方におんどとりをお使いいただいています。
つまりは、我々も間接的ながら人命に関わっているわけで、そのような意識を高く持つべきだなと改めて教えられました。

DPネットワーク様、その節は大変なご迷惑をおかけしたにも拘わらず、このような取材を受けてくださいまして本当にありがとうございました。

DPネットワーク株式会社Website

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ライタープロフィール

Yosuke

Yosuke

おんどとりismライター3号でございます。CX推進部所属です。