※記事中の組織名、拠点名、部署名などは記事公開当時のものです。
名古屋のランドマーク的存在である「名古屋マリオットアソシアホテル」。
日本屈指の規模を誇る同ホテルで、なぜ「おんどとり」が選ばれ、どのように活用されているのか。
経営視点と現場視点の両面から、非常に興味深いお話を伺ってきました。
| 日付 | 2026年1月14日 |
|---|---|
| お話を伺った方 | 猪飼様:株式会社ジェイアール東海ホテルズ 事業開発部 ファシリティコンダクター 熊谷様:名古屋マリオットアソシアホテル 総料理長 |
| 訪問先 | 名古屋マリオットアソシアホテル 様 |
| 使用機器 | RTR500BW・RTR500BC・RTR501B・RTR502B・RTR503B・RTR-602・RTR-600BD |
| 使用目的 | 保管食材の温度管理・食品中心温度測定 |
はじめに、株式会社ジェイアール東海ホテルズ様についてご紹介いただけますか?

猪飼様
弊社は東海旅客鉄道株式会社(JR東海)の子会社として、東海道新幹線の沿線を中心にホテルを展開しているホテル運営会社です。現在は、名古屋マリオットアソシアホテルを旗艦に、高山、新横浜、静岡、豊橋、名古屋JRゲートタワーホテル、そして京都四条烏丸の計7拠点を運営しています。今年の秋には京都駅前にもう1件、2030年には奈良での展開も予定しています。自社ブランド「アソシア」だけでなく、「マリオット」、「ヒルトン」、「ハイアット」といった複数のグローバルホテルブランドと契約し、世界標準の品質と地域と人を結ぶJR東海グループならではの安心感で期待を超える価値を提供するホテルを目指しています。

―― 弊社とのご縁のはじまりは猪飼様が以前静岡のホテルにいらした頃だったでしょうか。
猪飼様
そうですね、2015年から2020年にかけホテルアソシア静岡で総支配人室(総務部門)を担当してた時ですね。当時、弊社の社内ルールで厨房のすべての冷凍庫、冷蔵庫の温度を1日に2回計測、手書きで記録しなくてはいけなかったのですが、計測し忘れや、夜間等、不在時は冷蔵庫の異常に気付くのが遅れ、食材廃棄の事故も起こっていました。
―― 人の手による計測、記録はヒューマンエラーを誘発しがちですね。
猪飼様
そうなんです。
そこで、「おんどとり」という機器があることは知っていましたので、自動化できないかと調べてみたのが始まりです。パッケージ商品も検討しましたが、明らかに「おんどとり」の方が安価に導入できそうでしたし、自分たちで仕組みを作れるのも面白いなと。まずは静岡のメイン厨房で20台くらいの子機で運用するところから始まりました。
コロナ禍を逆手に取った「600台一挙導入」の決断
猪飼様
その後、私が名古屋へ異動したのを機に導入規模が一気に拡大しました。時期を同じくして調理部門の改革プロジェクトが始まり静岡での事例を説明したところ、経営層からも共感を得て水平展開することになりました。追い風になったのは、皮肉にもコロナ禍だったことです。
―― と言いますと?
猪飼様
2021年頃、コロナ禍の影響でホテルは非常に静かな時期でしたが、経営層からは、「労働生産性を上げなければ、ホテル業界は人材難の時代を乗り切れない」という考えのもとで、冷蔵庫だけでも600台以上のおんどとりを一挙に導入することになりました。
―― そのタイミングでの決断はすごいですね。機器について具体的な内訳を教えていただけますか?
猪飼様
親機は約50台、子機は約650台です。静岡、 高山、豊橋と、レストラン、宴会場も運営するホテルから設置、展開を開始し、最後に旗艦の名古屋に設置となりました。

どのような用途で活用されていますか?
猪飼様
メインはやはり、冷蔵庫や冷凍庫に保管している食材の温度管理ですね。それに加えて、食品が適切な時間で加熱・冷却されているかを記録するために中心温度計も活用しています。 また、実はキッチンの温湿度も記録しているんですよ。これは、そこで働くスタッフの環境を守るための大切なエビデンスとしての役割も兼ねています。
――設置作業もすべて自社で対応されたと伺っております。相当な苦労があったのではないでしょうか?
猪飼様
基本的に親機を中心にして子機を設置することで対応できています。壁越えやフロアをまたぐと親機と子機の通信が難しくなるので、中継機をどこに置くかは手探りでしたね。特に調理場は衛生状態を維持するために毎日洗浄を実施するため、水濡れをできるだけ避けるようセンサーを本体ごと冷蔵庫内に入れたがる。そうすると通信を安定させることが難しくなる……といったこともあり、最初は試行錯誤の連続でした。測定対象となる冷蔵庫や冷凍庫は動かせないので、キッチンスタッフの動線を邪魔せず、電波が届きやすい場所を探して親機や中継機を設置し、LANケーブルや電源を引きこみました。1か所で成功事例ができることにより、水平展開していきました。

24時間365日、異常を見逃さない警報機能
―― 導入時、特に警報機能が大きな役割を果たしていると伺っておりました。
猪飼様
そうですね。この警報の仕組みこそが、導入の決め手といっても過言ではありません。 弊社では冷蔵庫の基準温度を2.5℃に設定していますが、上限は「プラス5℃の状態が30分続いたら発報する」というルールを決めています。また、野菜などが凍らないよう、下限は「マイナス2℃が30分続いたら発報する」としています。
熊谷様
これが実際にキッチンに立つ私たちとしては、本当に助かるんです。警報が鳴れば現場の警告灯が光り、同時に担当者やナイトマネージャーのスマホへ一斉にメールが飛びます。メールを見れば「7番の冷蔵庫が発報した」とピンポイントでわかるので、すぐに見に行くと「ドアが少し開いたままだった」といった原因もその場で特定できるんです。
―― 24時間営業のホテルにとって、夜間の異常に気づけるのは大きいですね。
猪飼様
はい。夜中でも関係なくメールが飛びますからね。 実は、この警報は単なる「異常の通知」だけでなく、「設備の予防管理」にも役立っているんです。
―― 異常を知るだけでなく予防ですか。
熊谷様
はい。温度が上がり続けている冷蔵庫があれば、すぐに警報メールが届きます。霜取りが必要だとか、コンプレッサーの調子が悪いといった問題も、おんどとり Web Storageに送信されている温度グラフから状況を正確に把握して対応することができています。この「予防管理」により、食材を無駄にすることがなくなりました。完全に壊れてしまう前に手が打てる。この「未然に防げる安心感」は、一度体験すると手放せませんね。
現場の負担を最小限にする中心温度記録計(RTR-602)の活用
―― 冷蔵庫だけでなく、中心温度記録計も活用いただいていると伺っています。
熊谷様
肉や魚の加熱、冷温調理の記録に使っています。昔は各自が温度計をポケットに入れて測っていましたが、今は「おんどとり」を刺してピッ。紙に記録する手間がなく、衛生チェックに来る担当者からも高く評価されています。冷蔵庫と同じ親機で自動収集できるのもいいですね。
―― 中心温度計については「毎日メニューが変わるので、品目リストの更新が大変」という声を他のお客様からいただくことがあります。マリオット様ではどのように運用されていますか?
猪飼様
そこは、あえて「細かく登録しすぎない」のがコツですね。ステーキやハンバーグといった個別の料理名ではなく、「肉」「魚」「鶏」といった大きなカテゴリーでツリーを作って登録しています。
熊谷様
大事なのは「何の料理か」ではなく、「肉の加熱」として「魚の冷却」として何℃で何秒維持したか、というエピソード、エビデンスを残すことです。個別のメニュー名にこだわると、宴会のたびに事務方がデータを更新しなければならず、運用が止まってしまいますから。

―― なるほど!「肉の加熱」「魚の冷却」といったパターン化ですね。
猪飼様
はい。現場では「これから肉の加熱をやります」とカテゴリーを選んで測っています。まずは「測る習慣」を定着させることが最優先。ガチガチに作り込みすぎないことが、長く運用を続ける秘訣だと思います。
調理のプロが「温度計」ではなく「包丁」を握れる時間を
―― 現場の視点から導入後の変化をどう感じていらっしゃいますか?
熊谷様
以前は1日2回、各レストランのスタッフが冷蔵庫を回って、表示を見て紙に書くという作業を繰り返していました。1箇所につき30秒から1分程度ですが、これが数百か所あれば膨大な時間になります。
猪飼様
計算すると、それだけで年間数千時間が「記録」に費やされていることになります。時給換算すれば相当なコストですし、何より若手調理人にとって、この検温作業が「メインの仕事」のようになってしまっていたのが大きな課題でした。
熊谷様
そうなんです。本来、彼らは美味しい料理を作るためにこの世界の門を叩いたはずです。おんどとりを導入したことで記録の手間がゼロになり、本来の仕事である「調理」や「技術の習得」に充てられる時間が生まれた。これは現場にとって、数字以上の大きな価値があります。

製品に改善を希望される点はありますか?
猪飼様
ランニングコスト削減につながる電池寿命の性能アップと無線の飛距離アップですね。特に移動式冷蔵庫は親機からの距離が離れてしまい、通信ができなくなるケースがありますので、こういった問題が解決されるとありがたいです。また、「臭い」や周辺の「音」も数値化して記録できれば、お客様へのより誠実な対応に繋げられるのではないかと考えています。
――移動式冷蔵庫への対応は無線LANに直接接続できるTR7シリーズであれば対応できるかもしれません。いただいたご意見についても社内で検討いたします。
おわりに
取材の最後、バックヤードを歩いていると、忙しく立ち働くスタッフの皆さんが笑顔で「すごく助かってますよ!」と声をかけてくださったのが印象的でした。
華やかなホテルの輝きを支えているのは、見えない場所で活躍するプロフェッショナル達の誠実な仕事です。そのパートナーとして「おんどとり」が選んでいただけていることに、深い喜びと誇りを感じます。これからも、現場の熱量に負けない誠実な製品づくりを続けてまいります。
猪飼様、熊谷総料理長、そしてスタッフの皆様、この度はお忙しい中、私たちの取材を快く受け入れてくださり、本当にありがとうございました!
ジェイアール東海ホテルズ様のWebサイトはこちら
※使用されている警告灯「警子ちゃん🄬」「メル丸くん🄬」は、株式会社アイエスエイ様の製品です。




