※記事中の組織名、拠点名、部署名などは記事公開当時のものです。
“おんどとり”といえば、その名から“温度”のデータロガーとしてご存知の方も多いと思いますが・・・
ちょっと待ってください!
温度をとるというシャレで名づけられたところもありますが、
“おんどとり”という言葉の本来の意味はリーダーシップをとるということを表しています。
データロガーの世界を先導していきたいという願いが込められたネーミングです。
温度のロガーほど知られてはいませんが、おんどとりシリーズには、温度以外の測定・記録ができるモデルがいくつかあります。
これらのモデルは、色々なタイプのセンサから出力される電圧や電流(4-20mA)、パルス信号を測定し、
それを例えば騒音(dB)や風速(m/s)、雨量(mm)などの値として記録して、その値をクラウドを使ってモニタリングすることができるため、
業界を問わず活躍しています。
今回は、これら“おんどとりだけど温度ではない”データロガーを活用していただいている事例をご紹介したいと思います。
長野県松本市にある株式会社環境技術センター様を訪問し、森村取締役にお話をお聞きしました。
環境技術センター様は、主に建設・環境に関わるコンサルティングを行っており、10年以上前から自社で行う環境測定におんどとりを採用して、
おんどとりWeb Storage(T&Dの無料クラウドサービス、以下Web Storage)を利用してスマートにデータ管理を行っています。
日付 | 2023年10月4日 |
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訪問先 | 株式会社環境技術センター様 |
使用機器 | RTR500BM、RTR505BL、MCR-4V、VR-71 |
使用目的 | 騒音、振動、雨量、水位などの各種環境測定 |
Q.さっそくですが、環境技術センター様についてご紹介ください
森村氏 弊社は主に建設系及び環境系のコンサルティングを行っていて、
廃棄物関連施設や一般廃棄物焼却炉建設時の環境アセスメントの実施、またそれらを解体する時の施工管理などが主な業務です。
同時に環境計量証明事業所として、大気、水質、土壌、騒音、振動などの調査や分析も行っています。
建設や環境系のコンサルタントの多くはコンサルティング業務だけを行っていますが、弊社は自身で調査や分析も行える総合コンサルタントを目指しています。
この分野では調査や分析を自社業務とは切り離している企業が多く、コンサルを行う上で調査や分析が必要な場合は、その部分を外注することが一般的です。
弊社も以前は調査や分析だけを行うことが多かったのですが、今は全てのサービスをワンストップでお客様に提供することができます。
Q.御社ではどのような要素のセンサとおんどとりを組み合わせてお使いなのでしょうか?
森村氏 弊社は、騒音、振動、風速、風向、粉じん、雨量、地下水位、大気質(NOX・SO2・SPM・PM2.5等)などと組み合わせて使っています。
これらのセンサは、その測定値を電圧や電流(4-20mA)、パルスで出力することができます。
また、温度を電圧に変換して出力するセンサを、電圧タイプのおんどとりと接続して測定することもあります。
――なぜ、わざわざ温度を電圧を介して測定するのですか?温度測定はおんどとりの得意分野です(笑)
森村氏 T&D社のラインナップにはない気象庁の検定付き温度計を使うことが条件である現場があり、
その温度データもその他の要素とあわせてWeb Storageで管理したいからです。
変わったところでは、粉じんを測定するために大気を吸引する機器があるのですが、この機器に電圧測定用のRTR505Bと電流クランプを取り付けて死活監視を行っています。
この機器が止まってしまうと粉じん測定もできなくなってしまうので。
――この方法で冷蔵・冷凍庫の死活監視を行っているお客様もいます。
簡易的ではありますが、機器の突然の故障などを簡単に検知することができます。
Q.環境測定におんどとりを組み合わせ使うことになったきっかけを教えてください
森村氏 その昔、環境測定用の機器にはデータを保存する仕組み、つまりロガー機能がついている物はほとんどありませんでした。
データはチャート紙に記録される物が多く、その紙のデータを読み取って報告書にまとめていました。
これが手間で、デジタルでデータを取れる物が欲しいと思い、しばらくは御社のVR-71(2chタイプの電圧データロガー)で記録を行っていました。
しかしある時にゼネコン様から「解体現場の騒音や振動をリアルタイムで見たい」という要望がありました。
色々と探してみると、世の中には専用のシステムがいくつか有りましたが、解体現場から事務所のPCまで配線を引き回す必要があり、
そのせいかとても高額で手を出せるような物ではありませんでした。
そこで御社に相談したところ「RTR500MBS-A、RTR-505(※)とWeb Storageを組み合わせれば無線を使って簡単にできますよ」と言われて、
環境測定にはおんどとりを使うようになりました。
<※現在、RTR500MBS-AとRTR-505はそれぞれRTR500BMとRTR505Bへモデルチェンジしています。>
――RTR-500シリーズ(現在ではRTR500Bシリーズ)ならば無線を使ってデータを吸い上げることができて、
モバイル回線を使ってクラウドに送信することができるので配線は不要で簡単です
森村氏 気象観測を行う場合は人里離れた場所で測定することも多く、1年以上継続してデータ取りを行うことがあります。
遠隔地のデータをモニタリングできることも重要ですが、実は測定器が不意に停止していないかを確認できることが大きなメリットです。
1年間の連続した測定が必要にも関わらず、気づいたら測定器が故障で止まっていた、ではシャレになりません。
通常、月に一回くらいのペースで設置場所に機器の点検に行くことが多いのですが、それだと測定器が停止していても最大1か月それに気づくことができません。
実際に、現地に行ってみたら測定器が止まっていて、これはまずい・・・となったこともあります。
でもおんどとりを使っていれば、測定値に異常があれば警報メールが送られてくるし、
Web Storageにデータが上がってこなければすぐに現地に駆けつけて機器の点検や交換を行うことができるので重宝しています。
Q.「THE 環境測定向け遠隔監視システム」というような仕組みは無いのですか?
森村氏 環境測定の決定版、というような仕組みは思い当たらないですね。
皆さん、色々な製品を組み合わせて、工夫して測定していると思います。
先にお話した通り、測定データを集約するような専用システムもあるにはあるのですが、なかなか手が出ない金額です。
クラウドの利用料まで合わせたら数百万円かかることもあります。
Q.おんどとりを使ってみてどうですか?
森村氏 おんどとりを使うことでコストを抑えて簡単に遠隔監視ができるようになりました。
弊社の社員は、センサを持ってきておんどとりにつないで電源を入れるだけ、というくらいにシンプルに使えるという認識です。
ソフトウェアが充実しているので、スケール変換が簡単にできるのも魅力ですね。
センサから出力される電圧(V)や電流(mA)が、なぜ温度(℃)や騒音(dB)や風速(m/s)の値に変換できるのかがよく分からず、
ここで敷居が高いと感じる方もいますが、おんどとりのソフトならとても簡単に設定できます。
私たちが環境測定を行う場所、例えば清掃工場の解体現場などにはネットワーク環境はまずありません。
そんな場所であっても、携帯回線さえつながればRTR500BMを使うことできます。
仮にRTR500BM用にAC100Vの電源が取れなくても、弊社で太陽光パネルと蓄電池を組み合わせた電源ユニットを作って使っているので、機器を設置することが一見難しそうな場所でも問題なく使えます。
Q.もしご意見やご要望があったら教えてください
森村氏 スマホからBluetooth通信を使って無線の周波数チャンネルが変更できるように検討して欲しいです。
建設現場では他の無線が使われている場合があり、その無線電波とおんどとりの電波が干渉してしまい通信エラーになってしまうことがあります。
そんなとき急遽現場でおんどとりの周波数を変更する必要があるのでスマホから簡単に操作できると助かります。
もう一点は、Web Storageのダッシュボード表示がとてもよい機能だと思っているので、ここでお気に入りに登録できる機器の数を増やして欲しいです。
解体現場では、近隣の住人向けに、作業中の振動や騒音の値を大型モニタやデジタルサイネージに表示させておく用途があり、
このダッシュボード画面をそのまま表示させている現場があります。
このような場合、東西南北4か所、各所の振動と騒音の値を表示させるので最低でも合計8個を1つの画面に表示させることになります。
現状Web Storageのダッシュボードで登録できるお気に入りの数は6個なので、もう少し多くの数を登録できると嬉しいです。
――貴重なご意見ありがとうございました。
人手不足が叫ばれるなか、測定したデータを回収するために現場に赴くことは負担になっています。
またコロナ禍で一般的になったリモート業務による効率化の観点からも、わざわざ現場に出向くことなく、
遠隔地から自動的にデータの収集ができて、モニタリングができることのメリットはますます大きくなりました。
来年、おんどとりは発売開始から30年を迎えます。
お客様の中には、親しみを込めて「おんどとり君」と呼んでくださる方も多くいらっしゃいます。
たくさんのお客様の支え、また呼びやすく覚えやすい名前の助けもあり、おんどとりはこの30年で温度のロガーとして広く認知されてきました。
これはとても嬉しいことです。
これからは、マルチなロガーとして認知していただけると嬉しいです。
おんどとりが取れるのは温度に限りません。
おんどとりを使って様々なデータをスマートに管理してみませんか。
株式会社環境技術センター
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