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Yosuke

埼玉医科大学国際医療センター

埼玉県西部地区にある日高市に、医療水準の質やサービス、またその建物にいたるまで、とても先進的な病院があるのをご存知だろうか?
そんな最先端な病院である埼玉医科大学国際医療センター様において、私達のおんどとりをたくさんお使いいただいているとの情報を聞き、取材に訪れた。
おんどとりを導入していただいた経緯、またどのようにご活用いただいているかなど、薬剤部部長代理 眞壁秀樹様、中央検査部技師長 田地功忠様、購買部主任 吉澤健太郎様の御三方からお話を伺った。

日付 2019年1月16日
訪問先 埼玉医科大学国際医療センター
使用機器 RTR-500NW、RTR-502L、RTR-505PtL
使用目的 医薬品、検体、血液製剤、食材等の温度管理

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Q. まずはじめに、埼玉医科大学国際医療センターについてご紹介ください。

吉澤氏:「国際医療センターは埼玉県全域を範囲とし、がん・心臓病などの高度専門医療、そして脳卒中を含めた救命救急医療を提供できる病院です。700床の病院で、開院して約12年が経ちます。建物は、6階建ての病棟、A棟、B棟、D棟、E棟が中央のセントラル棟(C棟)を取り囲むように配置され、セントラルには検査室、オペ室、リハビリテーションセンター等があり、いずれの棟からもアクセス良く作られています。基本理念は“患者中心主義”で、常に安心で安全な満足度の高い医療を提供し、更には高度な医療水準を保つことを使命とし日々治療を行っています。」

と、今回のおんどとり導入に尽力してくださった購買部主任の吉澤様は言う。

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Q. 建物は機能的であるとともに、とてもかっこいい外観ですね。TVで見たことがあるような気がしますが?

吉澤氏:「はい、ドラマでよく使われています。実は、数年前に放映された『下町ロケット』の中で地方の病院として使われたんですよ」と、中央検査部技師長の田地様が教えてくださった。

――私あのドラマ大好きで欠かさず観てました。中小企業の底力見せてやるぜ! みたいな……。

田地氏:「長期にわたり救命病棟24時の撮影も行われていました。職員もエキストラで出演しているんですよ。」

私達の取材もそうだが、病院として可能な限り取材などの依頼を受けて下さっているようだ。懐が深いですね!

Q. では、早速ですがおんどとり(温度の自動監視システム)を導入するに至ったきっかけを教えてください。

吉澤氏:「国際医療センターは医療施設を対象とする医療の質の国際的基準であるJCI認証を取得しています。そのJCI認証の更新のタイミングにおいて、医療の質を更に高めるためにも医薬品などの状態を24時間365日監視し、もし異常があった場合はすぐに人が気づき得る体制を整えるべきではないか、という外部機関からのアドバイスを受けたことがきっかけです。」

――JCI認証の取得において医薬品等の温度自動監視システムの導入が必須項目なんですか?

眞壁氏:「システムの導入が必須項目というわけではありません。しかしながら、薬剤師には医薬品が病院に納品される段階から患者さんに投与されるまで、それらの適切な保管、管理、品質の担保が求められます。もちろん日中は薬剤師が適切な管理を行っていますが、日祭日および夜間においてはどうしても薬剤師が不在となる時間帯が発生します。そのような場合も看護師に協力していただき管理は継続しますが、やはり業務の都合上対応が遅れることもあり、24時間体制で厳密に管理することは難しい状況でした。そこで、更なる質の追及には医薬品に異常が無いかを常にモニタリングし、もし異常があったとしても一元的に、即座に知ることができる温度管理システムが必要だという結論に至りました。」

と、薬剤部部長代理の眞壁様は語る。

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※豆知識 JCI認証とは
JCI(Joint Commission International.本部:米国シカゴ)は、世界中の医療施設の“医療の質の向上と患者安全”を国際基準で評価する第三者機関です。
審査は16の評価分野、304の基準、1,218の判定項目について、患者の視点でシステム、ポリシー(方針)、プロシージャー(手順)が審査され、かつその実践についての検証が行われます。
世界の中で最も厳しい基準を持つ医療施設評価機構とされ、その審査は3年毎に行われ、回を追うごとに審査内容が厳しくなります。

埼玉医科大学国際医療センター様は、日本の大学病院で初めてJCI(国際病院評価機構)の認定を取得されました。
ちなみに、日本国内にはまだ28ほどしか認証施設がないそうですよ。

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Q. では、JCI認証ではどのような温度管理方法を求めているのでしょうか?

眞壁氏:「JCIでは具体的な管理方法を明示しているわけではなく、審査対象の病院が、どのようにして適切かつ安全に管理・保管しているのかを審査します。ただこの“適切”である、という点がポイントで、どのような方法で、どのような手順で、また医薬品に不測の事態が起きた時のその対処法を明確化し、それらが全ての職員に周知され、理解されていることが重要なのです。JCIはそこを審査します。

先述の通り、今までも定期的に確認と記録は行っていましたが、今回は特に不在時の温度異常に即座対応できること、さらには24時間体制でより厳密に管理できることが課題としてあり、医薬品の管理・保管をより確実なものとすべくシステム化することを選択しました。どこまで意識高く管理を行っていくのかは自分達次第なのです。国際医療センターでは、医薬品が納入された段階から患者様に投与されるまで薬剤部主導できっちりと管理し、よりよい状態と品質を保ち、食品と同じような考え方で安全を担保していきます。」

Q. 中央検査部様はいかがでしょうか?

田地氏:「中央検査部ではJCIはもちろんのこと、臨床検査の品質と能力に関するISO15189という国際規格があり、そちらでも同じように温度管理は非常に厳しく言われています。例えば、冷蔵庫等の最低・最高温度を毎日記録することが求められています。血液製剤は2〜6℃の範囲で管理、保管するという決まりもあります。中央検査部も、試薬や血液製剤の安全性を担保するためにも、より厳しく温度管理を進めていく必要性がありました。」

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※豆知識 ISO15189とは
ISO15189 とは、臨床検査室の品質と能力に関する国際規格で、ヒト検体を取扱う検査室向けに制定されたものです。
内容は大きく2つに分けられ、前半は品質マネジメントシステム、文書管理、内部監査などについてのマネジメントのための要件、後半は要員の教育や検査室の作業環境を含む、検体採取から検査報告までの一連の技術に関する要件となっています。
国際医療センター様ではISO15189取得に向けた取組みを行っているとのことです。

――安心、安全、弛まぬ医療の質への追求。こんな病院が自分の住まいの近くにあったらいいですね!

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Q. それでは数多ある温度計の中でおんどとりを選択していただけたポイントを教えてください。

眞壁氏:「ポイントは色々ありましたが、
一番は、元々薬剤部において治験の温度管理でおんどとりを使っていたことが挙げられます。
次に、常時モニタリングが可能で、警報監視も行えるという必要要件を満たしていること。
最後に、無償でクラウドサービスの『おんどとり Web Storage』が使えることです。」

吉澤氏:「長期的な目でみたときにランニングコストが大きく違ってくるので『おんどとり Web Storage』が無料で使える、これは大きなメリットでした。」

――さすが購買部様。機能とコストのバランスをきっちり見極めていただいたわけですね!

Q. おんどとりを導入する前はどのように温度管理されていたのですか?

眞壁氏:「まず薬剤部では、
朝と夜の一日2回、冷蔵庫の温度表示、また冷蔵庫内に設置した棒状温度計の目視確認とそれらの記録を行なっていました。ただこの方法だと、たまたま確認した時に問題がなかったとしても担当者の不在時に一時的に温度上昇している可能性があったり、温度異常を知らせる警告音が鳴っていても聞こえなかったりする問題がありました。これらを問題として認識し、対処していく! 今回はそのためのシステム化です。“適切”な管理とはこういうことなのです。」

――確かにそうですね。医薬品や食品の温度管理において、ポイントで温度を計測してもあまり意味が無いことが多いですよね。たまたまチェックした時がOKでも、その他のタイミングにおいて温度異常が発生していたら管理対象物はすでにダメージを受けているかもしれない。しかも、そのような事態が起こったことすら知ることができないのは大きな問題ですよね。

田地氏:「中央検査部も同様で、
一日2回冷蔵庫の温度表示と、冷蔵庫内に設置したアナログ温度計、それらの値を目視確認し記録していました。輸血に関しましてはもう少し精度高く管理が必要で、冷蔵庫についている自記録計を使って記録も取っていました。ただやはり夜間や日祝日の温度管理に課題があると感じていました。」

Q. 今回導入していただいた機種と数量を教えてください。

吉澤氏:「RTR-500NWが約30台、RTR-502LやRTR-505-PtLなど温度計が約110台程度になります。」

――たくさんお使いいただきありがとうございます。

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Q. たくさんの温度計をお使いいただいていますが、管理を行っている対象物を教えてください。

眞壁氏:「先述の通り、医薬品の保管庫、検体の保管庫、血液を保管するディープフリーザー、オペ室や患者様に提供する病院食の調理場にある冷蔵・冷凍庫などです。医薬品の冷蔵庫は病院内の外来や病棟に設置されていて、これらは薬剤部で一括管理しています。」

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Q. 具体的にはどのような設置・使い方をされていますか?

眞壁氏:「薬剤部が管理すべき医薬品の保管庫は広い病院内のそれぞれ決められた場所に設置されています。それぞれ決められた場所の冷蔵庫付近にはネットワークベースステーションのRTR-500NWと温度計のRTR-502Lを組み合わせて設置し、これらのデータは院内LANを通じてT&D社が提供する無償クラウドサービスのおんどとりWeb Storageに送信しています。その他の部署も同様で、各部署毎に同様の組み合わせを設置し、それぞれの部署がWeb Storageにアカウントを持って管理を行っています。」

――Web Storageには10分毎に現在値が送信され、また24時間分の記録データが24時間毎に自動的に保管されるよう設定されていますよね。各科バラバラに設置された温度計のデータがLANを通じてクラウドに集約されるので、データ管理が一元化でき、管理が容易となったわけですね! この広い病院内を、仮に一日2回温度を集めて回ったとしてらそれだけで大きな手間ですよね。

――24時間監視体制をしく防災センターにパトライト式の警報装置を設置していただいたので、例えば夜間などの担当者が不在の時間帯に温度異常が発生したとしても、その警報を見逃すことがなくなったとお聞きしました。

吉澤氏:「人が常駐している薬剤部や中央検査部は部署毎に警報装置を設置していますが、夜間不在になる部署に関しては防災センターに警報装置を置き、異常が分かるようになっています。また警報装置の発色でどの部署の異常かが分かるようになっています。部署によっては、警報メール機能も併用しており、温度の異常時には担当者宛に直接E-mailが発報されるように設定しています。」

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Q. おんどとりを導入したことによりどのような効果がありましたか?

眞壁氏:「24時間体制できっちり管理できるようになったこと。特に不在時の冷蔵庫異常に即座に対応できるようになったこと、これが一番ですね!」

――最近はどの業種も人材不足で、省力化というキーワードからおんどとりを導入していただくことが増えてきましたが、この点はいかがですか?

眞壁氏:「私どもに関して言えばそれはありません! 以前から行っている一日2回の温度目視は現在も継続しています。あくまで目的は、安心・安全の担保です。もしかしたらおんどとりだって故障するかもしれない。便利になったからといって、手は抜きません!」

――そうでした。目的は更なる質の追求でしたよね……。大変失礼いたしました(汗)。

Q. それでは最後に、1年間お使いいただいた上でのご意見やご要望などがありましたらお聞かせください。

田地氏:「中央検査部では、一日1回最低・最高温度を記録しています。このような値が何も考えることなく自動的に記録・保存されているような仕組みがあると便利だなと感じています。更に言えば、週単位とか月単位とかで期間を指定したらパッとプリントアウトできたらいいですね……。」

吉澤氏:「停電や、手違いで親機の電源が抜かれてしまった場合、データの送信はもちろんのこと、警報監視もできなくなります。こういった場合、その状況に気づくのが遅れてしまうことがあると思います。RTR-502L(温度計)は電池で動いていて、温度のデータはRTR-502L内部のメモリに蓄積されていることも知っているのでデータの欠損に関しては心配はしていないですが…… 常時警報監視の観点からも親機の死活監視機能があったら良いなと思います!」

――貴重なご意見ありがとうございます。何れもWeb Storageの機能アップで対応できそうです。今後対応を検討して参ります!

おわりに

この取材に伺った後、テレビ東京の『ガイアの夜明け』を観ていたら埼玉医科大学国際医療センターのお医者様が出演されていた。
すい臓がんにとても精通された先生とのことだ。
その先生は番組の中で、すい臓がんに苦しむ方を少しでも減らしたいという熱い気持ちを語っておられた。
私達が患者として病院に行く時、主に接するのは医師や看護師の方々だが、実は今回お話をお聞かせくださった薬剤部、中央検査部、そして購買部と、様々な部署の人々が連携し、一丸となって患者様のことを考え、安心、安全を心がけ、常に医療の質の向上に努めていらっしゃることが分かった。
私達のおんどとりもその一助となっていることがとても誇りに思えた一日だった。

埼玉医科大学国際医療センターの皆様、貴重なお時間、機会を下さり誠にありがとうございました。

ライタープロフィール

Yosuke

Yosuke

おんどとりismライター3号でございます。