※記事中の組織名、拠点名、部署名などは記事公開当時のものです。
京都大学は、1897年に創立され、10の学部を有し、学生数22,300人、教職員数8,400名、ノーベル賞の授賞者数が11名と、日本を代表する大学の一つです。
そんな京都大学の吉田キャンパスにある、京都大学附属図書館様でおんどとりが使われていると聞き、京都大学附属図書館の西川様、藤山様、長坂様にお話を伺ってきました。
温湿度ロガーを長年活用してきた現場で、どのような変化が起きているのか。
“ただの温度計”と思っていたものが“IoT機器”へと変わった瞬間について話していただきました。
| 日付 | 2026年3月 |
|---|---|
| 訪問先 | 京都大学附属図書館 |
| 使用中の機種 | TR72A2、TR-72Ui他 |
京都大学附属図書館について教えてください。
西川様
京都大学には吉田キャンパスの他に宇治や桂にキャンパスがあり、またその他にも全国に33の関連施設があります。それらの各施設に合計で約40の図書館・図書室がありますが、その中でメインライブラリーにあたるのがこちらの京都大学附属図書館です。この附属図書館単体で約100万冊を所蔵しており、年間延べ約90万人が来館します。国立大学の単館としては国内最大規模です。さらに国宝に指定されている資料を含む貴重書も所蔵しており、保存環境の管理は極めて重要です。
どのようなきっかけでおんどとりを導入されたのですか?

藤山様
以前、各図書館の担当者が集まって保存環境について話し合う部会があり、他館で使っていたロガーを紹介されたのがきっかけです。
今では京都大学の図書館全体でTR7系の製品を中心に数十台設置されていると思います。
主にUSB接続タイプを使い、職員が月1回データの吸い上げを行っています。また巡回時に目視確認も行っています。
図書館における温湿度管理のあり方についてお聞かせください。
藤山様
とにかく「湿度」の管理が重要です。
理想は50%前後で、60%を超えるとカビのリスクが高まり、40%を切ると乾燥しすぎです。
貴重書庫は構造自体が温湿度を一定に保つ設計になっていますが、一般書庫では梅雨時などに60%を超えることもあります。
一度カビが発生すると、書籍だけでなく棚板にも拡大し、その復旧費用が数百万円規模になることもあります。
そのため、温湿度管理は「予防」が何より重要です。
村山
図書館にとって湿度管理は生命線なのですね。
「ただの温度計」という認識から「かゆいところに手が届くIoT機器」へと印象が変わったきっかけを教えてください。
長坂様
転機は最新型のWi-Fi対応モデル、TR72A2の導入でした。
TR72A2がWi-Fiのエンタープライズ認証に対応したことで、学内ネットワークに接続することが可能になりました。
そこから、
・T&Dの無料クラウド「おんどとりWeb Storage」でデータのリアルタイム確認
・API連携によるGoogleスプレッドシートへデータの自動取得
と、活用が一気に広がりました。
これまでのおんどとりは「ただの温度計」という認識でしたが、「これはIoT機器であり、もうただの温度計ではない」と感じました。
村山
長坂様から製品に関するお問い合わせをいただいた際、弊社製品をそのように受け取っていただいていることを知り、ぜひともお話を伺いたいと思い今回の取材を申し込みました。
Wi-Fiモデルの導入によって変化はありましたか?
藤山様
以前は、月1回データを吸い上げて確認していました。つまり「過去に何が起きたか」しか分かりませんでした。今は自宅からでもデータを確認することができます。雨が降れば「そろそろ湿度が上がるかもしれない」と予測することができます。異常がないことをリアルタイムで確認できる。これが最大の安心になっています。
特に貴重書庫は入れる人が限定されていますが、人が出入りすることによって環境も変化するため、書庫に入らなくてもデータの監視ができるようになったこともメリットの一つです。
先ほど、Web StorageのAPIも使っていただいているとお聞きしました。

長坂様
APIが提供されているということは非常にありがたかったです。
Web StorageからAPIで取得したデータはGoogle Apps Scriptを使ってスプレッドシートに自動反映させています。
Web Storageのアカウントを複数人で共有する場合、IDやパスワードを全員に知らせる必要があり、セキュリティ上の問題があります。そこでAPIで取得したデータをGoogleスプレッドシートに自動反映させ、そのシートを関係者に共有することで、安全に誰でもアクセスできる環境を作っています。
このプログラムを作るにあたり貴社のおんどとりラボも拝見しました。あのような技術情報を共有していただけていることがすごく助かりまして、ラボの記事を参考に、わからないことは生成AIに教えてもらいながら作りました。おんどとりのAPIってちょっと特殊な形で、生成AIもこのような記事を読んでいないと答えることができないと思うので、Web上に詳しい情報を公開してくださっていたおかげで自分でも作ることができました。
村山
おんどとりラボの記事は弊社の技術者が中心となって記事を書いています。
記事に対して直接フィードバックをいただく機会は少ないので、ご活用いただいていることを知れて励みになります。
天気予報サイトでも気象情報を提供しているところがあると思いますが、APIを使ってその情報を取得することで、外気温や天気と館内環境の相関関係が見られるようになりませんか?
相関が分かることで、これから起こる気象の変化に対して、どのように対処しよう、という予測ができるようになると思います。
長坂様
外気温湿度か。それは確かに大きいですね。多分、外気の湿度が増えて、そこから館内が徐々に上がっていくのだろうけども、その予測が立ちますね。
そうすると来週の天気予測をデータで取ってきたら、来週この辺りに湿度が上がってきそうだよっていうのを周知しとくだけで、みんな気をつけようってなりますね。
村山
相関データが蓄積されていくことで将来予測ができるようになり、理想的なところまでいくと自動でエアコンのON・OFFすることだってできると思います。
長坂様
今図書館が導入している空調機器では難しいですが、すでに一般家庭ではできるようになっていますね。スマホからエアコンの操作ができますもんね。
気象情報だけならば一緒に入れるのは簡単なんで、それが入ってるだけでも結構意味はあるのかな。
今(天気予報サイトとのAPI連携を)入れちゃおうかな…。
これからおんどとりに期待することはありますか?

西川様
セキュリティという課題があります。
大学のネットワークは厳格な管理下にあります。
もしロガーが盗難にあい、USB接続でネットワーク情報が見られると、それはセキュリティインシデントになります。そのため、ワイヤーロックなどの物理的盗難対策や、USB接続時の情報閲覧制限など、ハード、ソフトのセキュリティを検討していただけると嬉しいです。
このようなセキュリティの観点から、最新のWi-Fiモデル(TR72A2)の設置は一般の人が出入りすることができない貴重書庫内だけにとどまっています。
長坂様
今後、1箇所に全館の温湿度情報がパッと集められるようになると戦略も立てやすいので、そういうことができるようになれば、そもそも業務の進め方自体を改善することができるんじゃないかなと私は考えています。

「ただの温度計」だったものが、リアルタイム監視 ・クラウド管理 ・API連携 ・データ分析 ・DXの推進へと進化する。
おんどとりは「図書の保存環境を支える、かゆいところに手が届くIoTツール」へと変わりつつあるようです。
京都大学附属図書館の皆様、この度は取材にご協力くださりありがとうございました。
京都大学附属図書館様
京都大学附属図書館様Website




