Yosuke

コロナワクチンの温度管理(埼玉医科大学国際医療センター様)

※記事中の組織名、拠点名、部署名などは記事公開当時のものです。

コロナワクチンを保管する上で一番重要な事、それは“温度管理”だそうです。
では、貴重なワクチンの温度はどのようにして管理されているのでしょうか。

今回は、埼玉県日高市にある埼玉医科大学国際医療センター様に、コロナワクチンの温度管理についてお話を伺いました。
取材には、薬剤部の浅見課長と、事務部総務課の吉澤様のお二人がご対応くださいました。

埼玉医科大学国際医療センター様はおんどとりイズム2度目の登場です。
いつも貴重なご意見を聞かせてくださり、本当にありがとうございます。

日付 2021年12月
訪問先 埼玉医科大学国際医療センター
使用機器 RTR-500NW、RTR505B
使用目的 コロナワクチンの温度管理

Q.早速ですが、コロナ禍がもたらした貴院への影響や変化があったら教えてください。

浅見氏「影響を言い出せばきりがありませんが、まず薬剤部の観点で申し上げると、薬剤の出荷停止や供給不足が発生したり、とある薬剤はコロナの血栓症予防で使われた為に
一般の診療においては使いづらくなった事もありました。」
「病院全体で申し上げると、コロナ患者専用の病棟が建てられたり、この未曾有の事態に対応するために職員の配置換えなども有りました。
救急救命対応一つ取っても、受入れ時にまずはコロナの検査を行うので、一人一人の患者様の対応にかかる時間が増加し、だからこそ診療体制も大きく変化しました。」

――ニュースで医療機関の窮状を耳にはしていたが、医療の現場には想像以上の負担が発生していたようだ。

村山「国際医療センター様ではコロナワクチンの接種を行っていらっしゃいますか?」

浅見氏「国際医療センターでは、まずは職員への接種、その後に職員の家族への接種を行いました。
また2021年12月からは職員向けの3回目の接種、いわゆるブースター接種が開始になりました。」

Q.コロナワクチンをどのように保管していますか?

浅見氏「政府から貸与された冷凍庫を使い保管しています。」
「職員向けの接種にはファイザー社製のワクチンを使い、家族向けの接種ではモデルナ社製のワクチンを使用しました。
それぞれのワクチン向けに、専用の冷凍庫を貸与していただきました。
この冷凍庫を使い、ファイザー社製ワクチンは-80℃で、モデルナ社製のワクチンは-20℃前後で保管しています。」

Q.コロナワクチンを保管する上で何が一番重要ですか?また管理上で気を付けている事はありますか?

浅見氏「一番重要な事は温度管理です。」
「保管中、接種に臨む前の準備段階、それぞれの工程に決められた温度があり、適切な温度で維持管理した上で接種に臨む事が重要です。」
「その他には光を当てない事と衝撃を加えない事です。
特にファイザー社製のワクチンは保管温度がとても低いため凍った状態では振動に弱いと言われていて取扱いには気を遣いました。」

Q.では、ワクチンの温度管理にどのタイプのおんどとりをご活用いただいていますか?

吉澤氏「親機にRTR-500NW、温度計はRTR505BLとPt100タイプのセンサを使って温度管理しています。」

――国際医療センター様では数年前から同モデルのおんどとりを多数お使いいただいております。(過去の記事へ
今回もご活用いただきありがとうございます。

村山「政府配布の冷凍庫にも温度ロガーが標準付属していると聞いていますが、なぜおんどとりをお使いになっているのでしょうか?」

浅見氏「確かに貸与された冷凍庫にも温度ロガーが付属してきました。」
「最初にセットアップだけはしてみましたが、この温度ロガーは”モニタリング”が出来ず、”リアルタイム”の温度を見る事ができません。
データの抽出はできますが、そのためには冷凍庫の扉を開けなくてはならないですし、抽出できるデータは過去のデータなので、
データを確認した時には温度の逸脱からすでに数日が経っていた、という事が起こりえます。」
「また、我々にとって温度の”警報監視機能”も重要な要素の一つです。
付属してきた温度ロガーも、温度が逸脱するとその場で警報音が鳴るのですが、アラーム音も小さいし、これでは誰かがずっとそこにいないと警報の状態に気づく事ができません。」
「もし、おんどとりを知らなかったら配布された温度ロガーをそのまま使っていたかもしれませんが、我々はおんどとりを薬剤の温度管理にも使っていますし、求めている機能を持ち、
便利な事を知っていたので、実はワクチンの到着前から空の冷凍庫におんどとりを入れてシミュレーションを行って備えていました。」

Q.ワクチンの温度管理におんどとりをお使いになった感想をお聞かせください。

浅見氏「おんどとりと、おんどとりWeb Storageを使う事で、”いつでもどこでも”温度を確認する事ができます。
もしも温度の逸脱があったとしても、すぐに責任者宛てに警報メールが送られてきます。
また薬局内においては、警報メールの送信と連動して警報装置が鳴動するので、温度逸脱を見逃す事はありません。」
「おんどとりを使ったことでかなり助かりました。」

おんどとりWeb Storageとは、ティアンドデイが提供する無料のクラウドサービスです。

浅見氏「ワクチン接種が行われる日、まず薬局でワクチンを準備してから接種会場に向かいますが、会場で、冷凍庫の扉をしっかりと閉めたかな、という不安がよぎるんです。
特にモデルナ向けの冷凍庫は容量が小さかったので、内蓋がずれて冷気が漏れていないかと心配でした。
それにも関わらず自分は接種会場に常駐していたので冷凍庫を確認しに戻る事も出来ません。」
「でもおんどとりならば、会場にいながら、スマホからWeb Storageを使って温度を確認する事ができましたし、おんどとりがあって良かったなと思いました。」
「自宅でも温度を確認できましたし、これは大きかったです。」

吉澤氏「コロナ禍で薬剤師を始めとした医療従事者の負担がとても増えました。」
「コロナ禍前と比較したら桁違いです。
とはいえ、コロナワクチンも薬剤師が管理しなくてはなりません。
そんな時、”簡便に”、”スマートに”温度管理が出来るおんどとりがあってとても助かりました。
もしもワクチンに何かあったら貴重なワクチンを無駄にしてしまう、常にそういう不安がありました。
おんどとりが無かったら薬剤師の方々はいつもそのような不安に悩まされていたのだと思います。」

「おんどとりが人手の代わりとなり、また薬剤師の方々に精神的な安定も与えてくださったと思っています。」

――お力になれて大変光栄です。おんどとりが薬剤師さんの”精神安定剤”になれていたのですね。

Q.これからもワクチン管理にお使いいただく上で、我々が改善すべきポイントがあったら教えてください。

浅見氏「警報の条件を厳しく設定し過ぎた事で警報の発生頻度が高くなってしまい、我々が警報に慣れてきている事が問題と考えています。
例えば薬剤を取り出すために冷凍庫の扉を開けていたわずかな時間で警報と判定されてしまうことがあるのですが、これは何とかならないでしょうか?」

村山「おんどとりの警報監視機能には、”警報判定時間”という設定があります。
この設定を使えば、正規の作業中において温度逸脱が発生したとしてもそれを警報とは判定しない、という事が出来るようになります。
例えば、上限値-20℃を”10分間連続して”上回り続けたら、この時点ではじめて警報として判定するという事ができます。
この機能をお使いになることで、本当に必要な警報のみを受け取る事ができるようになります。」
「浅見様がおっしゃるとおり、警報が頻発する事で、日々の警報がオオカミ少年のような状態になる事が危惧されます。
本当に必要な警報だけを知る事で、”おんどとりから警報が届いたのだからこれはただ事では無い”、というような環境を作っていただく事が大切なのではないでしょうか。」

吉澤氏「Web Storageのデータ保管容量が物足りないです。」
「私達は、一つのアカウントに20台以上の温度計を登録しているので、長期間に渡ってデータを残すにはクラウドから頻繁にダウンロードする必要があります。
もちろん無料のサービスであるという事を承知はしていますが、もう少し長期間のデータを保管してもらえると助かります。」

村山「仰る通り、現状のWeb Storageのデータ保管容量は、1アカウント当たり一律で20MBになっています。
お使いいただいている温度計の台数が考慮されないので、貴院のように多くの台数をお使いいただいているお客様ほど容量が足りなくなるという事を承知しております。
これは今後の弊社の課題として検討させてください。」

今回の取材を通して、データロガーメーカーである我々が、コロナウイルスとの戦いにおける一助になれているという事を知りました。
私達はワクチンや薬を作ったり、投与する事はできませんが、様々な分野で温度管理に苦心されている方々に”おんどとり”という”精神安定剤”を処方できる存在でありたいと思います。

「うちはおんどとりを使っているから大丈夫。」

「おんどとりがあって助かった。」

今後もこのような会話をあちらこちらから聞けると嬉しいです。

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ライタープロフィール

Yosuke

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おんどとりismライター3号でございます。CX推進部所属です。